夏になると、お祭り、花火大会、バーベキューなどで、外に出かける機会がいっきに増えて楽しいですよね。
その反面、嫌な虫たちが活発になる季節でもあります。蚊に刺されやすい体質の私は、外出するたびに身体中のあちこちを刺されていました。おまけに夜には耳元でブンブンと鬱陶しく飛び回られ、「かゆい!」「うるさい!」と二重の苦しみを味わいました(笑)
しかし、巷で話題のハッカ油スプレーを試してみたところ、蚊に刺されることが劇的に減りました。あれだけ悩まされていたのが今では嘘のようです。
今回は実際に試してわかった、ハッカ油の虫除け効果を解説します。この記事によって、蚊に悩まされる人がひとりでも減ってくれたら嬉しいです。
目次
ハッカ油とは?&虫除け効果がある理由は?
ハッカ油の虫除け効果を解説する前に、そもそもハッカ油の「ハッカ」とは何なのか、改めておさらいしましょう。

ペパーミントの品種のひとつ。歯磨き粉やリップクリームなどのケア用品、ガムや飴などの食品、また湿布や目薬などの医薬品など、幅広く使用されている。
※ハッカを乾燥させて抽出した植物油が、ここでいう「ハッカ油」です。
ハッカとはいわゆる「ミント」のことです。日本古来の呼び名として、ミントがハッカと呼ばれるようになりました。つまり、あのミント特有のスースーした清涼感があります。
人間にとっては爽やかな香りに感じられ、スースーする感じも気持ちいいのですが、虫にとってはとんでもない悪臭に感じられるそうです。
植物は「匂い」をうまく利用することで、昔から現在まで生き残ってきました。花が咲く時期には虫の好む匂いを発して、虫を呼びこみ、蜜を吸わせて受粉を成功させます。また、虫の嫌う臭いを発することで、葉を食べる虫から自らの身を守ってきました。
少し大袈裟な表現かもしれませんが、ハッカの香りは「自身を存続するために生み出された防衛本能」から生まれたものなのです。それだけに虫除け効果は高く、お店で売られている防虫剤にもハッカの成分が含まれていることがあります。
このように、市販品にも配合されるほどハッカの効果は認められており、たくさんのメーカーからお墨つきをもらっているのです。
ハッカ油に虫除け効果はあるのか、実際に作って試してみた
「百聞は一見にしかず」ということで、私が実際にハッカ油スプレーを作って使用してみた感想を書いていきます。
作り方については別記事に詳しく書きましたので、こちらをご覧ください。

網戸からの虫の侵入を完全にブロック
さっそく、網戸に手作りのハッカ油スプレーを吹きかけてみました。
匂いは想像どおり。ハッカ飴でお馴染みのスースーした爽やかな香りが漂います。
効果を検証するために、夜、窓を開けて網戸にして過ごしてみました。いつもならば、部屋の中にだいたい2〜3匹は小さな虫が侵入してきましたが、ハッカ油スプレーをしたら網戸に1匹も虫がついていません。
何日か試してみましたが、やはり小虫は見当たらず。あくまでも体感ではありますが、通常の虫除けスプレーに負けないくらいの効果があると感じました。
肌に直接スプレーするのも効果的
自分の肌に吹きかけることで、市販の虫除けスプレーと同じ使い方もできます。
虫除けスプレー特有の独特な臭いがせず、肌に直接吹きかけてもベタつかないところが良いですね。食べ物の近くでも安心して使えるので、アウトドアの際に持っていくと大変便利です。
ハッカ油の虫除けは効果がないという人もいるけど…?
そんなハッカ油スプレーですが、「効かない」という声もよく聞きます。せっかくハッカ油を購入したのに、虫除けにならなかったら悲しいですよね。
「効果がない」と感じた場合には、以下の点をチェックしてみてください。
- 作ってからどれくらい時間が経ってる?
- 使用頻度は?
- 冷蔵庫で保存している?
- 精製水を使っている?
- 濃度はどのくらい?
ひとつずつ確認していきましょう。
作ってからどれくらい時間が経ってる?
最初に確認すべきポイントです。ハッカ油スプレーを作ってから、すぐに使い切っていますか?
ハッカ油は時間の経過と共に、その成分がどんどん保存容器から抜けていきます。「まだ匂いが残ってるから大丈夫」と思っていたら、じつは虫除け効果が消えていたというパターンもあります。
必ず2〜3日で使い切ってください。「目安は1週間」とよく聞きますが、私の体感では3日も経てば効果が激減します。
3日間で使い切れる量(50ml〜100ml程度)を作るようにしましょう。
使用頻度は?
次に確認していただきたいのは、こまめにスプレーをかけ直しているか。
ハッカ油は揮発性の物質なので、市販の虫除けスプレーよりも持続時間は短いです。特に外では空気に触れるぶん、成分が抜けるのも早く、汗によって匂いが薄まってしまいます。
- 基本的には1〜2時間でスプレーをかけ直す。
- 1時間経たなくても、匂いが薄れてきたらかけ直す。
このふたつを徹底してください。
冷蔵庫で保存している?
作ったハッカ油スプレーは、冷蔵庫で保管するようにしましょう。涼しくて日が当たらない場所であれば、ハッカ油の成分を保ちやすくなります。
肌に吹きかける場合により冷たく感じられるので、夏場は特におすすめです。
精製水を使っている?
「水道水でも問題ない」とおっしゃる方は多いです。しかし、私は実際に試してみた結果、水道水だとハッカの匂いが弱まるのを確認しています。
薬局やドラックストアに行けば100円弱で購入できるので、せっかくハッカ油スプレーを作るのでしたら、精製水を使用してください。
濃度はどのくらい?
ハッカ油スプレーは、よく紹介されているレシピだと「ハッカ油20滴、無水エタノール10ml、精製水90ml」が多いです。
これは人間の肌につけることを考慮した濃度なので、虫除け専用で使うのであれば、お好みでハッカ油の量を増やしても構いません。「ハッカ油の濃度を上げたら、効果が発揮されるようになった」という体験談も聞いています。
虫によって効果の違いはあるのか
ここまでハッカ油の虫除け効果を紹介しましたが、虫の種類によって「効く」「効かない」の違いがあるのかも気になるポイントだと思います。
「ハッカの匂いに虫が慣れてしまう」「ハッカ油を使ったら逆に虫が寄ってくる」という話も聞きますよね。
今回は虫の種類によってどんな違いがあるのか、それぞれの項目で解説していきます。
蚊
ハッカ油は、蚊に対して特に有効な対策になります。その理由は蚊の性質にあります。
蚊の嗅覚は優れており、人の汗から発せられる乳酸の匂いを嗅ぎとって、人間の身体に近づいてくるそうです。つまり蚊にとっては「匂い」が人間を見つけるために最も必要な情報なのですね。
ハッカの匂いには「人の汗の匂いを隠し、蚊に発見されにくくする」というメリットもあります。ハッカ油スプレーを肌に振りかけることで、人間に近づいてくる頻度を減らすことができるのは、この点からも保証されている事実なのです。
ゴキブリ
ゴキブリは玉ねぎ・ニンニクなどのネギ類の臭い、生ゴミなどの腐った臭いを好み、レモンなどの柑橘類やハッカなどの強いハーブの匂いを嫌がります。
よってハッカの匂いは、ゴキブリに対しても忌避効果があります。
ただし、ゴキブリが蚊と違うのは「人間の身体に近づくこと」が目的ではなく、食料や水を求めて家に侵入してくるという点。
ゴキブリの嗅覚は蚊と同じく優れているのですが、嗅覚だけに頼って徘徊しているわけではありません。ハッカ油の虫除け効果はあくまで匂いによるものなので、適応能力の高いゴキブリがハッカの匂いに慣れてしまうケースもあります。
その場合には市販の駆除剤など、別の対策が必要となるでしょう。
「ハッカ油を使ってもゴキブリが出てくる」という時には、こちらの記事を参考にしてください。

コバエ
「コバエ」はショウジョウバエなどの小さなハエの総称です。食品を求めて飛び回るので、台所が主な活動範囲になります。
ゴキブリや蚊と同じく、コバエもハッカの匂いを苦手としています。生ゴミの入った袋や食べ残しを捨てた三角コーナーなどに、あらかじめハッカ油スプレーを噴射しておくことで、コバエの発生率を抑えることができるでしょう。
また、これは他の害虫にも共通することなのですが、清潔にする、生ゴミを捨てる、掃除をこまめにするなど、誘引源を極力減らすことも重要な対策になります。
ダニ
ハッカ油に含まれているメントールには、殺ダニ・増殖抑制効果があると確認されています。特に屋内のダニに対しては極めて有効で「ハッカ油蒸気はヤケヒョウヒダニに対して100%の殺虫効果がある」という頼もしい研究結果もあります。(参考:日本テルペン化学株式会社の研究結果)
布団・カーペット・畳などにスプレーすることで、ダニの予防をすることができますね。
ただし、すべてのダニに効果があるわけではないことをご留意ください。植物に寄生するハダニ類などには忌避効果しかなく、様々なウィルスを媒介することで警戒されているマダニは幼ダニのみしか駆除できません。
ハッカ油が有効なその他の虫
ハッカの匂いを苦手とする虫は他にもたくさんいます。
- アブ
- ブヨ
- 蛾
- 羽虫
- カメムシ
- アリ
- ムカデ
- ゲジゲジ
- 蜂
- 蜘蛛
以上の虫たちに対しては、忌避効果が認められています。
ただし、これは一般的な防虫剤にも同じことが言えるのですが、「絶対・完璧」ではなく「避ける効果があるだけ」ということは念頭に置いてください。
正直なところ、ハッカ油スプレーは完全な虫除け対策としてはちょっと弱いです。
専用の虫除けスプレーと比較すると、どうしても効果は劣ります。「市販の虫除けスプレーよりもすごい!」とテレビの情報番組やネットで取り上げられているのは、少し誇張されている部分があるかもしれません。
特にスズメバチと遭遇する可能性がある場合や、蚊を媒介としたマラリアの蔓延する海外に渡航する場合などは、ハッカ油の効果を過信せずに他の対策も必ず併用するようにしてください。
ハッカ油の効果がない虫について
多くの虫に対して効果のあるハッカ油ですが、例外はあります。
「シバンムシ」という茶色くて小さな虫は、ミント・ハーブ系の香りを好みます。ハッカ油を使用することで、逆にシバンムシを呼び寄せてしまったというケースもあるそうです。
シバンムシが大量発生した場合には「ヒバ油」が有効なので、ハッカ油の代用品としてそちらを使用してみてください。
ハッカの匂いを嫌がらない虫として他に挙げられるのは、バッタ、アブラムシ、てんとう虫など。特にバッタは農業害虫としては厄介な存在で、一般的な虫が嫌がるハーブ類の葉を大喜びで食べてしまいます。これらの虫は防虫ネットで対策するしかありません。
虫除け以外にはどんな効果があるのか
ハッカ油には「虫除け効果」だけでなく、プラスアルファの効果も含まれています。
- 除菌・消臭効果
- 清涼効果
- 覚醒効果
- リラックス効果
など、エッセンシャルオイルであるハッカ油特有の様々な効果が期待できます。それぞれの効果についても解説しましょう。
除菌・消臭効果
ハッカ油に含まれている「メントール」という成分には、除菌・消臭効果があります。
そのため、家や車の中などでスプレーすれば爽やかな匂いが広がり、天然の消臭剤として活用することもできます。あからさまな芳香剤と違って、あくまで「自然な香り」なのもおすすめできるポイントですね。
ハッカ油スプレーをゴミ箱に使えば、生ゴミなどの臭いを消臭することができます。さらにハッカ油は大腸菌を滅菌させるほどの除菌効果があるので、まな板などの殺菌にも使えます。
清涼効果
ハッカ油のメントールが肌に付着すると、ひんやりとした清涼感が得られます。ハンカチやタオルなどにつけて汗を拭き取ることで、気持ちよく過ごせるでしょう。
ここで注意していただきたいのは「涼しくは感じるが、実際の体温は変わっていない」という部分です。メントールによる清涼感は神経を刺激することによる錯覚であり、本物の冷たさではないので体温は変わりません。
くれぐれも水分や塩分の補給を忘れず、熱中症にならないようにご注意ください。
覚醒効果
ハッカ油には覚醒効果もあります。
ハッカには気分をすっきりさせるメントールが含まれており、ハッカの匂いを嗅ぐことで脳が覚醒するのです。寝起きや疲れた時などに自分の顔に吹きかければ、ハッカ油の効能が眠気を吹き飛ばしてくれることでしょう。
ハッカ油を1滴垂らしたハンカチを、鼻と口にあてて深呼吸することで車酔いにも効きます。車酔いしやすい小さなお子さんがいらっしゃる方は、ぜひ一度試してみてください。
リラックス効果
暑くて寝苦しい夜には、枕や寝具にハッカ油スプレーを吹きかけてみましょう。ミントの爽やかな匂いに包まれ、安らかに眠ることができますよ。蚊も近づかないので一石二鳥です。
上の項目で「覚醒効果がある」と書いたので、「むしろ目が覚めちゃうんじゃないの?」と思われるかもしれませんね。
確かにハッカ油には覚醒効果がありますが、その逆に神経を落ち着かせる「鎮静作用」もあり、心をリラックスさせてくれるのです。というのも、メントールには血行を良くしてくれる効能があるからです。
覚醒効果といっても、コーヒーやエナジードリンクなどに含まれるカフェインとは違い、眠りを妨げるものでないことをご理解ください。
まとめ
「効果がある」「効果がない」と意見の分かれるハッカ油ですが、私は「効果があるよ!」と声を大にして言いたいです。正しく使うことさえできれば、とても優秀なアイテムだと思います。
せっかくハッカ油スプレーを作ったのに効き目がない、という場合にも諦めずに現状をチェックしてみてください。
私が思うハッカ油スプレーの良いところは、「安価で手軽に作れること」「安全性が高いこと」「虫除け以外の用途にも使えること」の三つです。市販の虫除けグッズと比較した時に劣っている部分はありますが、天然由来のハッカ油だからこその魅力もたくさんあります。
ひとつ持っておくだけで本当に便利なアイテムなので、ぜひ生活に取り入れてみてくださいね。