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ハッカ油は猫に悪影響を与える!もし使ってしまった場合の対処法は?

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暑くなってきて、いよいよハッカ油の活躍する季節がやってきますね。ボディースプレーや入浴剤として使うと、体も冷えてすっきり爽快です。

天然由来なので人の体に優しく、虫除けにも使え、いっけん万能に見えるハッカ油。

ですが、最近では「猫にとっては猛毒になる」という噂も聞くようになりました。

猫を飼っている友人にハッカ油をあげる予定があったので、その話が事実であるなら大変です。

慌てて調べてみても、「うちは猫を飼ってるけど問題なくハッカ油を使ってる」とか「猫に直接使わなければ大丈夫」とか「薄めて使えば大丈夫」とか、たくさんの情報が出てきて余計に混乱するばかり。

そこで今回は「ハッカ油がなぜ猫の体に悪いのか?」について詳しく調査してきました。

ハッカ油は猫の体にどんな悪影響を与えるの?


ネットや書籍で情報収拾したところ、「ハッカ油が猫の体に悪い」というのは本当でした。正確には「ハッカ油」ではなく「精油」全般が猫にとって有害なのです。

精油(エッセンシャルオイル)の成分は、植物性の脂溶性化学物質と呼ばれるものです。これは体内に入ってきた場合に分解せずにいると、毒に変わる恐ろしい成分です。人間や犬の肝臓にはこの成分を分解できる「グルクロン酸転移酵素」が含まれているので、問題なく使用することができるのですね。

しかし、猫の肝臓は「グルクロン酸転移酵素」を十分に作り出すことができません。そのため、毒素を分解しきれずに体の中に溜めこんでしまい、肝機能の障害を引き起こしてしまう危険性があります。

食性が根っからの肉食である猫は、はるか先祖の時代より、植物を取り入れる必要がありませんでした。ゆえに精油の毒素を分解する酵素が不完全なのでしょう。

そして、植物性の毒素の一番厄介なところは「体内に蓄積される」という性質です。急性の中毒にかかる場合もありますが、何年もかけて肝臓に毒素が溜まり続け、後から重大な肝不全を起こす危険性があります。猫は言葉を喋ることができず、具合が悪くても元気そうな顔をしていることがあるので、やはり人間のほうで気をつけなければいけません。

実際に飼い主の方がアロマ好きで、数年後に飼い猫が肝不全で死亡してしまった例もあるそうです。最悪の場合には命を落としてしまうことも考えられるので、猫を飼っているご家庭では、残念ながらすべての精油を使用禁止にしてください。

ハッカ油を猫に直接使わなければ大丈夫?


「ハッカ油スプレーを猫に直接吹きかけなければ大丈夫」
「お風呂や外出先の使用など、猫の手に届かないところで使えば大丈夫」

上のふたつはよく見かける意見ですが、どちらも大きな間違いです。その理由についても解説しますね。

ハッカ油(精油)が効果を発揮するのは「香り」によるもので、人間や猫の体内に届く経路はふたつあります。

  1. :気化したハッカ油の成分は、まず鼻から取り込まれると、鼻の奥にある嗅覚神経から脳に刺激が伝達されます。そして血液の流れに乗って全身に運ばれていき、中枢神経に直接作用することが判明しています。
  2. 皮膚:皮膚の表面から吸収されたハッカ油は、局所で作用を発揮するほか、血管やリンパ管に入り、血液の流れに乗って体中に広がり効果を発揮します。

 
特に②が猫にとっては深刻なダメージとなります。猫の皮膚は人間に比べるとかなり薄く、デリケートであるため、ハッカ油の成分が皮膚から急速に吸収され、血流に入りこみやすいのです。

直接舐めたり、匂いを嗅いだりしなくても、ハッカ油の蒸気そのものが猫にとっては猛毒になります。そもそもハッカ油は、ハッカの香り成分を何百倍にも濃縮した強力なものなので、薄めて使用しても危険なことには違いありません。

たとえ1滴のエッセンシャルオイルであったとしても、猫にとっては命取りになることもあると覚えておきましょう。

「天然成分のほうがいい」とハッカ油が流行っていた幼稚園で、保護者に連絡なく虫除けとして園児にハッカ油スプレーしていたら、その子の自宅で飼っていた猫が中毒を起こしてしまったというケースまであるそうです。

ふだんハッカ油スプレーを愛用している方でも、猫を飼っているご家庭にお邪魔する時には使用を控えるようにしてくださいね。

具体的にどんな症状が出るの?


ここまで猫に対するハッカ油の危険性について解説しましたが、「誤ってハッカ油を使ってしまった」という場合もあるかと思います。

そんな時には慌てず、まずは以下の中毒症状が出ていないかチェックしてみてください。

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 失禁
  • よだれ
  • 手足の震え
  • めまい
  • 運動失調
  • 食欲不振
  • 口腔内の炎症
  • 皮膚が赤くなる・腫れる

どれかに当てはまるようであれば、すぐに動物病院を受診してください。皮膚の適切な洗浄、点滴や下剤の投与など、獣医師が適切な処置を早期に行うことができれば、通常は2〜3日で回復するとされています。

目に見える症状が出ていなかったとしても、エッセンシャルオイルの毒性を知らずに使用していた場合は、一度動物病院に相談してみることがおすすめです。自宅でハッカ油を使用していることを申告した上で、猫に副作用が出ていないかどうかをしっかりと確認してもらいましょう。

まとめ

同じ哺乳類とはいっても、人間と猫では体の構造がまったく違います。人間の赤ちゃんに安全だからといって、猫にも安全という考えは間違っています。猫は人間の赤ちゃんと同じ肝臓を持っていません。

自分が猫を飼っていなかったとしても、猫と接する機会があればハッカ油の使用は避けてください。また、もしも猫の近くでハッカ油を使ってしまった場合でも、落ち着いて対処するようにしましょう。早い段階であれば、無事に解決できることがほとんどです。

猫と人間が仲良く過ごせる環境を、うまく工夫して作っていけたらいいですね。